ピグマリオン効果

学校などでひとつのクラスをA,B二つのグループに分ける。
簡単なテストをしてAグループには採点した答案を返し
Bグループのそれは、見ないでおく。


そしてBグループを一人ひとり先生が呼んで
「このあいだのテストは良くできていた」と褒める。
みんなに同じことを言う。



しばらくしてまたテストをする。
やはり、採点した答案を返すのはAグループだけ。
Bグループには、全員に「今度もよくできた」と言う。


こういうことを2,3回繰り返したあとでテストをし
ABともに採点をし、ABそれぞれの平均点を出すと
Bグループのほうが、成績がいい。


これをピグマリオン効果と言うそうである。
褒めていると実際に、そのようになる。


Bのグループは、できたから褒められたのではなく
でたらめに褒められたのだが、それでも効く。
ほめられるということは、上達や能力を伸ばすのに、
大きな作用を及ぼす、ということのようだ。


ピグマリオンは、ギリシャ神話でギプロスの王様である。
珍しい王様で彫刻の名手だった。
理想の女性を刻んだが、あまりのみごとなできばえに
その像を深く愛するようになった。
神にこの彫刻に命を与えて、結婚させてくださいと懇願した。
哀れと思った愛の女神さまアフロディは彫刻を生きた女人にし
ピグマリオンは、彼女と結婚したという寓話である。
そこから、願えばかなうことをピグマリオン効果と言うようになった。


日本にも類する言葉がある。
「一念三千」は仏教用語であるが、思いを強く念ずると叶うというわけである。
何か志を持ち、成就させるためには努力とともに
「強く思う」ことが手中にできる一歩だという。


新しいことや、難しいことを始めるときに
マイナスばかりみていても、うまくいかない。
多少足りないところがあっても、どこかいいところをみつけて
ほめてくれるひとがいると目に見えて上達する。


すぐれた指導者は、ほめ上手であることが少なくない。


似たような経験は自らもしているし、わたしのまわりにもいる。
どちらかというとわたしも、相手の長所をみつけるのが得意だ。
おべっかを使う必要などないし、迎合したりもしない。
相手の良さを認識し、それをきちんとフィードバックするだけである。
それだけでも本人には自信につながり、成長著しい。
育児と似たような感もある。


おのれの未熟さに落ち込むときや自分はダメだと思うとき、
この「ピグマリオン効果」を思い出したらどうだろうか。


一方で拙いものに満足していると進歩は止まる。
なかなかバランスは難しい。
謙虚さも必要であると痛感する。


ことに自分の仕事に対する自己批評は困難だ。
どこが良くないかが自分ではっきりすれば、やがてその欠点は減るだろう。
強く願い、そして思い、努力するのみである。