危機意識と裏腹に

岡山まで墓参をしてきた。
そのたびに思う。
やっぱり墓を居住地に移しておいたら良かっただろうか。
車で往復500キロの道のりは遠い。
往路の安全に神経を使うようになった。
とにかく、無事に行って帰ってくることが一番の命題になってくる。



年に数回しか訪れることのできない墓参だが
それでも大げさにいえば、必死の覚悟がいる。
ゴールデンウィーク時や帰省などでの事故の報道を目に
するたびに、他人事とは思えない。


こちらが、いくら安全運転していても巻き込まれる場合がある。
昨今のドライバーのマナーと気の緩みは恐ろしい。
「事故」などは、もう紙切れ一枚の運命に委ねられているようで
しっかり「徳」を積むか、祈るしかないかと思えてくるほどである。


近ければいつでも墓参できて、これほどの緊張感を持たなくて
いいのになぁ、などと今更ながら思う。


一方では、ドライブ気分で行く墓参もまた楽しいと感じてる。
今日は娘家族と一緒に行った。
娘のところにはこの春、第3子が生まれたばかりだ。
長時間の車での移動はまだ控えると言っていたのだが
5月は、家族にとって因縁の深い月であり墓参をしないと落ち着かない。
息子夫婦との休みが合わなくて一緒には行けそうもない。
急きょ婿殿が、同行を申し出てくれた。
ありがたい。


赤ん坊は3か月にならんとし、どっしりと良く肥えている。
車の振動が心地よいのか眠ってばかりいる。
たまに目を覚ますとお相撲さんのような丸い顔を
にっこりするから、みんなで目を細める。
みんなのアイドルである。


この春から、幼稚園の年少組に入園した3歳のかえでは
「これ以上小さい子を見たことがない」とママが笑うほど
小柄で、一番前の席に並んでいる。


対する潤平のヤツは、園で一番大きい。
「極端だわ〜」と娘。
先輩の潤平は、新入のかえでの様子を見に年少のクラスを
訪れては、あれこれと世話を焼いているようだ。
妹のことが気になるらしい。


ママは、赤ん坊を抱っこして二人のちびっ子の送迎に明け暮れる。
「メチャかわいいし、幸せやわぁ〜」
心底、子育てを愉しんでいるふうである。


潤平たちと遊びながら車中を愉しむ。
墓前では、みんなで草を引き、供え物をして手を合わせる。
小さな、小さな平安がある。


ロングドライブは、まだ続くだろう。
緊張しながらの墓参を続けることになりそうだ。
潤平たちが大人になったとき、このことを覚えておいてくれるだろうか。


遠い墓参りを終え、無事に帰宅し、ほっとしている。