孤独は人生の大切な時間

孤独について、どのような考えを持っているだろうか。
自分は孤独で不幸な人間だと思っている人は少なくない。
「孤独であること=不幸」という捉え方を無意識のうちに
していないだろうか。
また孤独というのは、避けるべき良くないことだと考えては
いないだろうか。



万博公園の日本庭園



孤独とは、本当に良くないことなのだろうか、と
柳田邦男氏は、エッセイのなかで孤独について述べている。


物事には2面性があり、確かに孤独という状態には、寂しい、辛い
話し相手がいない、誰も理解してくれない、楽しそうにしているひとを
見ると自分がみじめに思えるといった負の感情をもたらす側面がある。


しかし、大きく深呼吸して孤独というものに距離を置いて考えてみる。
あるいは、人生全体の山あり谷ありの長い期間のなかに置いて、
孤独な時間がもたらすものについて考えてみる。


そうすると、誰にも邪魔されないで過ごせる、
静かに本を読みふけったり音楽を聴いたりすることができる。
出しゃばらずに他人に迷惑をかけない、人生や生きることについて
深く考えるようになる。
悲しみや辛さをかかえた人の心を理解できるようになるといった
ポジティブな側面があることに気づくだろう。


決して「孤独であること=不幸」ではない。
むしろ孤独とは、内面的な成熟への大切な試練と学びの時間なのだと
受け止めたほうがいい。
そう思えたとき、心豊かな人生に向けて一歩踏み出したと言えるだろう。



という氏の文章に触れ、わたしも膝をたたいた。
まったく同感!の思いが強い。


孤独、ひとりで過ごす時間を忌み嫌うひとがわたしのまわりにも多い。
何かに憑かれたように他と交わり
そうでもしないと、置いてけぼりを喰うかのように
日替わりメニューのような日々を過ごしている。
群れたり、つながっていないと安心できないのだろうか。


若いころのわたしもどちらかと言うと、その類であり
あちらのグループ、こちらの仲間と他者との交流に多忙な時代があった。
それはそれで、意義があり悪くはないと思っているが
還暦を過ぎたいま、「時間」というものに対して
もったいをつけるようになった。
言いかえれば惜しむようになったというべきか。


人生の残り時間がどれぐらいあるのか、見当もつかないが
「個」の時間「孤」に対する執着心が深くなったようにも感じている。


そのような意味においても「孤独」は決して寂しいことでもなく
辛いことでもないことが自覚できる。
これまでの来し方を振り返り内省できる貴重な時でもある。


考え方ひとつで心が満たされる。
孤独は本当に人生の大切な時間なのだ。