お節介オバサン

乳幼児の虐待は、相変わらず後を絶たない。

先日もある番組で「子どもの居住不明」を扱っていた。

乳児健診や就学通知を出しても沙汰がないことから判明したようである。

小さい子どもが勝手に移動できるわけもなく

生きているかどうかさえ不明だという。

もちろん学校にも行かせてもらっていない。

発展途上国ではあるまいに、就学児が学校へもいけない状態って???

怒りがこみあげる、不憫でならない。

 

 

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一方では子どもが欲しくて不妊治療に莫大な費用をかけて

ひたすらわが子の誕生を心待ちにしている親もいるというのに。

子は親を選んで生まれることはできない。

 

 せっかくこの世に生を受けた子どもたちが

安心して育つ世であって欲しいと切に願う。

小さい孫がいるせいか、特に痛ましい乳幼児の

報道には無関心ではおれない。

 

 わが家の隣にⅠ歳児を連れた若い夫婦が越してきた。

分譲ではあるけれど持ち主が賃貸にしており

知っている限りでは、4回ほど住居人が変わっている。

 

 以前、2人の赤ちゃんのいる家族がいて

そのことにも触れている。

 

 今度の若いママは、子どもを連れてよく散歩に行き

道中やエレベーターで会うと気さくに声をかけてくれる。

明るい社交的な性格のようである。

時々ベランダで洗濯ものを干していると

子どもに話しかける声が聞こえてきて微笑ましく感じる。

 

 先日、花の水やりをしていていると1歳君の泣き声がしている。

いつも機嫌よく遊んだりしているのにずっとずっと泣き声は続く。

「いったいどうしたんだろう」

おばぁさんの感覚で、心配でたまらない。

 

ゴミ出しで玄関を出ると、まだ激しい泣き声がしている。

もう30分は経ってる。

 

 いたたまれなくなり、ついに玄関のチャイムを押した。

「ボクちゃん、大丈夫ですかぁ」

開けてくれたママの顔を見ると憔悴しきっている。

「すみません・・泣き声がうるさくて・・・」

「機嫌が悪く、どうしようもないんです・・」

ママも、泣きそうである。

 

 「子どもは泣くのが仕事、ぜんぜんそんなこと気にしなくていいわ」

「そうか、ボクも機嫌の悪い時もあるよねぇ・・・」

ボクに手を差し出すと、体を乗り出して甘えてくる。

熱はないか、痛いところや痒いところはないか。

食欲はどうか、と聞きながら抱っこしていてもなかなか泣きやまない。

 

 それでも話しているなかで、母親の気分がほぐれたのか

ママが笑顔になると、ボクもようやく泣きやんだ。

「ちゃぷちゃぷ(お風呂)は好き?ママにちゃぷちゃぷ

してもらい、寝んねする?」と訊くと

「ハイ」

なんと、可愛い返事をしてくれる。

ママとふたりで大笑いしてしまった。

 

 「困ったことがあったらいつでもおいで」

「ボクちゃんを見てあげるよ!」わたしは、声をかける。

「はい」ママは嬉しそうに顔をほころばせる。

 

 小さな風穴を開けてあげることで流れがかわる。

閉鎖的なマンションで、親子密室状態だと

息が切れそうになることもあるだろう。

 

 わが娘や孫たちも近隣のひとや管理人さんたちに

世話になり、可愛がってもらっている。

おあいこだ。

 

お節介オバさんの久しぶりの出番である。

 

子育ての環境は、私たち世代とは違ってきており

閉塞状態に拍車がかかる。

意図しなくても、ママの鬱憤が小さい子どもに向けられ

ひいては虐待にもつながりかねない。

 

 何も支援はできないけれど、温かく隣の坊やたちを見守りたい・・・

お節介オバさんは、そう思うのである。