中野京子著「怖い絵」に挿入されている。
こちらはもっと迫力がある。
漆黒の闇を背景に、裸の巨人がわが子をむさぼり喰っている。
灰色の髪を振り乱し、身をよじり、前かがみで、両目も、口も
鼻の穴も、もうこれ以上はもう無理だと思うほど大きく開けたサトゥルヌス。
なめらかな胴体も、父の巨大な両手で今にも砕かれそうだ。
いや、すでに獰猛な爪は皮膚を破り内臓にまで達しているのだろう
指の間からじ、じわりと血がにじむ。
なぜ、わが子を喰らうことになったのかと言えば・・
世界の始まりのとき、大地の女神ガイアは息子の天空神ウラノスと
交わって巨神サトゥルヌスを産んだ。
サトゥルヌスは長じて父を大鎌で去勢したあげく殺し神々の上に君臨する。
「お前もまた自分の子どもに殺されるだろう」・・・
ずっと怯え続け、その予言から逃れるため、妹であり妻であるレアとの
あいだにできた子どもたち5人を次々自分の腹の中へおさめざるを得なかった。
・・・文章引用・・・
他にも絵画の裏話として、マリーアントワネットが処刑台に
向かう道中のダビッドのスケッチや、
ドガの「エトワール、または舞台の踊り子」など一見
怖くなさそうな絵に知られざる秘話が興味をひく。
昨日、機嫌良くわが家を訪れた。
いつもニコニコとスキップしながら玄関を通り
部屋に入るなり、7歳と4歳が本を指さし何?って訊く。
話すと二人は、ビビってしまい大泣きをする始末。
言うことを利かないからお母さんも食べちゃおうかなぁ」と
冗談にいい、見せて、とばぁばに言うと
「ママぁ、ボクらを食べんといて!」
「ばぁば、ママに見せんといて!」
「そんな怖い本もう借りんといて!ばぁば!」と大変な怖がりようだ。
「今晩、ボク夢に見るかも知れない」などと7歳が心配している。
いやぁ悪かった・・・
脅かすつもりはなかったのだが、冗談が過ぎたようだ。
このあたりが、まだまだ幼いのだなぁと妙に納得した次第だ。
昔のグリム童話などもえげつない物語が多いが
あまり小さい子には、トラウマになりそうで話さない方がいいか。
わたしでも就寝前に見ると強烈過ぎて眠れなくなりそうだ。
中野京子著「怖い絵」を、真夏の眠れない夜に一読を(笑)