「わが子を喰らう、サトゥルヌス」・・・ゴヤ

 

ご存じゴヤの、観るだに恐ろしいゴヤの絵画。

中野京子著「怖い絵」に挿入されている。

 

 ルーベンスも同じ題材で描いているようだが

こちらはもっと迫力がある。

 

 

f:id:mursakisikibu:20130811190513j:plain

 

 

漆黒の闇を背景に、裸の巨人がわが子をむさぼり喰っている。

 灰色の髪を振り乱し、身をよじり、前かがみで、両目も、口も

鼻の穴も、もうこれ以上はもう無理だと思うほど大きく開けたサトゥルヌス。

 

 子どもはすでに頭部も右腕も食いちぎられ、血にまみれている。

なめらかな胴体も、父の巨大な両手で今にも砕かれそうだ。

いや、すでに獰猛な爪は皮膚を破り内臓にまで達しているのだろう

指の間からじ、じわりと血がにじむ。

 

 

なぜ、わが子を喰らうことになったのかと言えば・・

世界の始まりのとき、大地の女神ガイアは息子の天空神ウラノス

交わって巨神サトゥルヌスを産んだ。

サトゥルヌスは長じて父を大鎌で去勢したあげく殺し神々の上に君臨する。

 

 しかし父ウラノスの最期の言葉に・・・

 

「お前もまた自分の子どもに殺されるだろう」・・・

 ずっと怯え続け、その予言から逃れるため、妹であり妻であるレアとの

 あいだにできた子どもたち5人を次々自分の腹の中へおさめざるを得なかった。

 

・・・文章引用・・・

 

 何とも強烈な絵にめまいがするほどだが

 他にも絵画の裏話として、マリーアントワネットが処刑台に

 向かう道中のダビッドのスケッチや、

 ドガの「エトワール、または舞台の踊り子」など一見

 怖くなさそうな絵に知られざる秘話が興味をひく。

 

 その「怖い絵」を読んでいる最中に、わが孫っち3人が

 昨日、機嫌良くわが家を訪れた。

 いつもニコニコとスキップしながら玄関を通り

 部屋に入るなり、7歳と4歳が本を指さし何?って訊く。

 

 「おとーさんに子どもたちが食べられる怖い話が載っているよ」と

 話すと二人は、ビビってしまい大泣きをする始末。

 

 そこへママが「いやぁ夏休みでふたりともちっともお母さんの

 言うことを利かないからお母さんも食べちゃおうかなぁ」と

冗談にいい、見せて、とばぁばに言うと

 

「ママぁ、ボクらを食べんといて!」

 「ばぁば、ママに見せんといて!」

 「そんな怖い本もう借りんといて!ばぁば!」と大変な怖がりようだ。

 「今晩、ボク夢に見るかも知れない」などと7歳が心配している。

 

いやぁ悪かった・・・

 脅かすつもりはなかったのだが、冗談が過ぎたようだ。

 

 以前、「オニから電話」のときも、真剣に怖がっており

 このあたりが、まだまだ幼いのだなぁと妙に納得した次第だ。

 昔のグリム童話などもえげつない物語が多いが

 あまり小さい子には、トラウマになりそうで話さない方がいいか。

 

 しかし・・・この表題の絵・・・

 わたしでも就寝前に見ると強烈過ぎて眠れなくなりそうだ。

 

中野京子著「怖い絵」を、真夏の眠れない夜に一読を()