1歳のソウスケが、キッチンの流しの下の扉を開け、
いきなり包丁を取り出した。
出刃や刺身やら3本並んだ包丁の手前のを、引っ張り出し、
刃先を下に向け、柄をひょいと持つと
「あいっ!」
にっこりと、ばぁばに差し出す。
「ふぇ~~~~っ、あぶない!」
肝をつぶさんばかりに驚いた。
小さいアンヨを突き刺すだろう。
想像するだに、冷や汗が出る。
「どうしてチビスケが知っているんだ?」
「なぜ、引っ張り出すのだぁ?」
物騒なモノを1歳から取り上げ、ふっと調理台を見ると、
冷凍庫から出したアイスキャンデーが横たわっている。
はぁ~・・・思い出した。
さっきリビングで座いすに横たわり、くつろいでいるとチビスケに
やにわにセーターの袖を掴まれ、キッチンへと連れて行かれた。
そして奥の冷蔵庫を指さすや、アイスをねだる。
アイスが何番目の扉の中なのかも、知っている。
目覚めた彼のご機嫌取りにアイスを食べさせた。
大き過ぎるので、包丁を取り出し袋の上から切って、
皿に、ひと口大のアイスを盛ってやった。
「ばぁばぁ、アイス食べてもいい~?」と、訊くのも、もどかしく取りだす。
それを見て同じようにねだったのだ。
どちらにしても1本は彼のお腹には多過ぎるので3等分しなければならない。
切ろうと思っていると・・・
キッチンのアイスのことをすっかり忘れていた。
1歳の認知能力には驚く。
まるで精緻なコンピュータ並みの記憶力だ。
いや、それ以上かも知れない。
ばぁばも記憶装置が欲しい^^
「水彩色鉛筆」を使わせると、水入れに使っているお猪口を探し、
いの一番に、ばぁばに持ってくるのは1歳である。
水を入れてくれ、というわけだ。
機転が利く。
最近の彼の常套句は「おいちっ!」である。
7歳や5歳が、ニンジン嫌い、ピーマンいや!と
わがままし放題に、食卓のおかずを選り分けるなか
1歳だけは、せっせと口に運び、ニコッと言うのである。
「おいちっ」
何と世渡り上手なことか。
うさぎのように黙ってモクモクと口を動かすソウスケを!
あんた達も見習いなさ~い!
今週など3回も、ある!
やれ理事会だの、何のと、理由はいろいろあるようだが
毎回、目じりを下げてばかりのばぁばも、それなりにやることがある。
忙しい・・・。
可愛い孫も、しょっちゅう面倒みているとくたびれる。
今日も夕方から「御一行様」がやってくる、ああ~~~(――〆)