名刺交換のマナー

職を辞し名刺を持たなくなった、というより
名刺がなくなったと書くべきであろうか。
爾来(じらい)個人のつきあいでそれを渡す必要がなく
ますます「名刺」とは無関係になってきている。


ビジネス用の名刺には社名や部署、役職、名前、
最近ではEメールのアドレスも必須であり、
必要に応じて携帯番号も付加することがある。
名刺の記載事項も時代とともに変化してきた。


仕事から離れた人々は今日では逆にプライバシーを守るために
名刺を渡さなくなってきているようで、
せいぜい携帯番号の開示ぐらいのものである。
HPやブログのアドレスもわたし自身は
知人などに知らせていない。


かつて人と会うことも仕事のうちと、わたしも
ずいぶん名刺をバラまいたものである。
そして、名刺入れのファイルも分厚く積み重なっていった。
一度会ったひとの名前と顔を一致させるのに
名刺の裏や横に特徴をメモしたことが仕事のなかで役立ったが
そんなことを懐かしく感じるほど過去のものになりつつある。


今さらであるが、名刺交換のスタイル(マナー)について触れてみたい。
名刺交換は普通、両手で渡し両手で受け取ることが多い。
片手で渡すのは失礼、いただくのも同じ・・・
現役のころ、そのように教えられ守ってきた。
頂いた名刺を「商談中どこに置くか」などは、それぞれ
分かれるところだろう。


わたしは、会合などで出席者と名刺の交換をすませると
すぐ名刺入れに仕舞わずに机の横に置き、話し中に
相手と名刺を見比べたりしていた。


昨今のビジネスシーンにおいての教育でもそれが
普通とされているように感じる。


しかし・・・
このことに異論を唱えるのが、わが宿ハチさんである。
彼はこのような「名刺交換のマナー」を奇異に感じている。
「茶道でもあるまいし、そんなことは学んだこともない。
何から何まで重箱の隅をつつくような≪マナー≫が
横行してウンザリする」と、いう。


このような習慣がいつ頃からなされているか知らないが
少なくとも欧米などでは、不思議な現象と映るらしいのだ。
欧米では貴族などが名刺を使用したが、1975年ごろまでは
名刺は普及していなかったようである。


また現実に「名刺を両手で受け、両手で渡すとき、
両手が塞がっているのに、どうするのか?と訊かれ、
確かに言われてみればそのとおりで
わたしも、やりにくかったことを覚えている。


折しも複数の人から名刺の作成を依頼され、仕上げたところだが
その扱い方にふと疑問を感じ、どのような渡し方、
受け取り方がベターなのかと、埒もないことを思った。



秋のバラ ブラスバンド(万博公園にて)