秋の叙勲者の中に・・・

今年の秋の叙勲受章者が発表された。


叙勲は、国及び地方公共団体等の公務に従事した者で
国家又は公共に対し功労のあるものに、勲章を授与され
多くの民間人も含まれる。


民間叙勲は、議員の口利きで指定の推薦母体が候補者の詳細履歴
を様式に従って作成して霞が関の該当各省の窓口に
提出し審査を受けて叙勲の認可を得ることになる。


3日に発表された新聞紙上で「ある方」の名前を見つけ、驚いた。
かつて団体職を担っていたとき、推薦候補に上がっていた人である。
ある事情から却下され、そのときに作成した膨大な書類の山は
その後どうなったのだろう、と退職した後も気になっていた。
今秋、ようやく功績の実績が認められ、晴れの叙勲対象者になっている。


さっそく、受賞のお祝いを電話で伝えた。
彼は自分の受賞より関わったことのある、わたしからの祝辞を喜んでくれ
「今どうしているのか」
「元気にしているのか」と質問攻めにした。
気にかけて頂いていたことが、嬉しい。


彼の受賞は「旭日双光章」である。
「国家または公共に対し勲績ある者に授与する」というもので
今回は、ある経済団体から申請したようである。


かつての申請は、霞が関の「農水省の推薦」によるもので、
在職した団体が直接の窓口になっていた。
功績や事績が諸々の詳細な条件を満たさないと
推薦すら受けられないほど、厳しい。


書類作成には膨大な労力と時間を要する。
しかも役所言葉といわれる微妙な表現にもこだわらなければならない。
時系列に沿っての功績などは、すべてにおいて
当たり前だけれど、裏付けが必要とされる。


数値の実績などは過去数年間の洗い出しや計算など
気が遠くなるほどの煩雑さを伴う。
そうしてひとつずつ、関所をパスしていきながら
最終の審査まで持っていく。


書類作成に担当者は頭を悩ます。
とても通常の仕事を担いながらのそれは、できない。
司法書士や代筆屋に委ねるところもあるという。


先に述べた叙勲者は、その過程において農水省の「初歩的ミス」により
途中で却下された経緯がある。
かの省の係官とは、直接ネットで書類のやりとりをしていた。
中央省庁への風当たりが強い時期、彼らは親身になって
推敲などにも関わってくれアドバイスしてくれた。
順調に進捗していたのに、残念な結果になり遺憾に感じていた。
一度下ろされると、二度と同じ窓口からの推薦は受けられない。


このように無念な結果に終わった叙勲申請が、数年を経て
別の団体から無事、受賞にまでこぎつけられたのは幸いである。
御年81歳になっている。


叙勲などに関心のない者には、大したことでもないように見えるが
欲しい人には垂涎の的なのである。


毎年、たくさんの方が叙勲を受賞されている。
みな、そのような過程を経て掌中にしたのだろう。
水面下で関わる方のご苦労もねぎらいたい。


かつての書類がようやく日の目をみて、こちらもうれしい。
Kさん、いつまでもお元気でご活躍を・・・・。