湯あたりならぬ湯疲れか
こんなにはっきりと、体に症状が現れたのは初めてである。
何とも言えない倦怠感、眠気・・・
シャキッとしない感じを一日目から感じていた。
先日の嵐山の温泉はチェックインが早かったせいか
メンバーだけの貸切状態のように空いていた。
とろりとした湯の感触を肌でしっかり味わい、からだが温まると
露天の空気を吸いながら薬湯に浸かるなどし
極楽、極楽と呪文のように唱えていた。
一緒に湯に浸かっていたMさんやNさんは
汗をしたらせ顔を真っ赤にして早々に上がっていった。
彼女たちはよほど新陳代謝が活発なのだろう。
わたしは汗腺が開いていないのか、ちっとも熱さを感じないし
汗もなかなか出てこない。
ゆったり湯に浸かっていると、福井から訪れたという
人の良さそうなご婦人から話しかけられ、長々と話しこんでしまい
ますます湯から出られなくなってしまった。
時間にしてどれぐらい経っていたのだろう。
食事前でもあるし、さらっと入るつもりが長湯をしてしまった。
部屋に戻るとやたらと眠い。
食事まで少し時間がある。
ベッドに横たわるとからだが吸い込まれそうである。
同室のRさんとも、もっと話しをしたい。
せっかくの可愛らしい浴衣もきちんと帯を結び、優美に着こなしたい。
そんな思いとは裏腹に、からだはグニャンとしている。
無理に帯を締めると気分が悪くなりそうである。
それでもディナーの前の食前酒とコースで運ばれる料理に
舌鼓みを打ち、夜の宴も満足のうちに終えた。
お腹を満たすとみんなで一つの部屋で団欒である。
そのときも、どういうわけかきちんと座っておれない。
わたしは、失礼を承知で座布団を並べ、横にならせてもらい
皆さんとのおしゃべりに耳を傾けていた。
生あくびと睡魔が襲う・・・
どうしてこんなにぐったりして眠たいのか。
このときもまだ「湯あたり」していることに気がつかない。
おしゃべりタイムのあと、就寝前にまたひと風呂浴び
お泊りでの温泉の醍醐味をしっかり堪能する。
早朝、まだ夜が明けきらないうちの露天風呂はこれまた心地よい。
木々の匂いが体に沁み入りそうである。
朝食は和食セットと洋食のバイキングも何度もお代わりするほど
食べた、食べた・・・。
おいしかったし、これほどの食の満足感も久しぶりである。
チェックアウトを済ます前にトイレに行くと
爽快感とともに今まで見たこともない、きれいな「黄金色のモノ」が!
思わず同室のRさんに伝えようかと思ったほどだが
尾籠な話しなので黙っていた。
しかし・・りっぱな量と形ときれいな色をしていたなぁ。
そうして無事に帰宅したわけだが
帰ってからの倦怠感たるや・・・
いつからこんなに体力がなくなったのか。
夕飯もそこそこに寝た、寝た、寝た!
泥沼に沈みこむように眠りこけた・・・。
翌朝、簡単なブログを記し午前の予定を終えるとまたもやバッタン。
いくら寝ても眠り足りない。
ぐったり感と惰眠の二重奏である。
「どこぞ、からだの具合が悪いのではないか・・・」
真剣に悩んだ。
夜、少し気分が良くなったのをしおに
知人に事の詳細を打ち明けると大笑いして言う。
「それは完全な湯あたりだ、間違いない!」
「体力低下でも病気でもないよ」
なるほど、ようやく合点がいった。
わたしは何事にも敏感に反応する性質でこれまでにも
たびたび憂きめに遭っている。
湯疲れが身体にどういいのか、良くないのか。
判断に苦しむけれど、それからひと晩寝てようやく治まり
昨日は奈良へと出向き、一日歩き回る元気を取り戻したのだった。
まったく、愉しさとセットで予期せぬことは、起こるものである。
ご用心、ご用心。