「苦髪楽爪」
大辞泉によると・・・
苦労しているときは髪の伸びが早く、
楽をしているときは爪の伸びが早い、という意味らしい。
最近、爪がやたらと早く伸びるようになった。
頻繁に足や手の指に爪切りを当てている。
夜に爪を切ると「親の死に目に遭えないぞ」などと
親に脅かされ、その両親も鬼籍に入ってしまった今
昼夜問わず、のんびり爪を磨いでいる。
爪が伸びているのは、楽をしている証しなのだろうか。
一方で,髪の伸びるのもまた早いと感じる。
ついこのあいだ、セミロングの髪をばっさりショートにして
すっきりしたなぁと思う間もなく、
いま、首の根っこ辺りにまで髪が落ちて、なびく。
これだけ髪の伸び方が早い!ということは
やっぱりわたしは、クロウしているということだ・・・と
自己憐憫に陥らないところが
年を喰った中年?高齢に向かう女の強みである。
紫外線たっぷりな季節だ。
日焼け防止に中途半端な髪の長さはちょうどいい、と
思う反面、鏡を見ては変身願望に思いが募る。
うう~む、どうしたものか。
悩ましい。
へんなところで気取って、迷う。
すっきり短いスタイルも魅力だ。
年々、横着者に拍車がかかるわたしには
ショートは手がかからず打ってつけである。
何より髪を染めるとき、染料が少なくて済む(せこい・・・)。
実際、天然のヘナを用いて自宅で染めているとはいえ、
その費用すらバカにならない。
時間の短縮もありがたい。
「お父さんが、お母さんは短い方が似合うっていってたやんか!」
わが娘は、母の短い髪を支持する。
ふ~む、今日こそは美容室に行こうか。
少し揺れる髪の長さにも愛着がある。
年々中性化しているわたしが唯一エレガントに見える術の
ような気もするから、切るのは惜しい。
ひとりの人間が同時に二つの髪型を欲すれば
短く切って、いま中高年に流行のカツラでも手に入れるしかない。
切ろうか、切るまいか・・・愚にもつかぬことで思案している。
ああ、わたしはこのようなことでも、クロウの種にしている。
だから髪が伸びるのが早いのだ。