時代とともに・・


秋風がちょっぴり気持ちいい午後、友人と会った。
彼女はこの春退職したばかりで
フルタイムで63歳まで働いていた。

退職では、わたしのほうが1年ほど先輩になる。
少し人恋しさを感じ出したわたしは
彼女が職を辞してからどのような生活を
送っているのか、知りたい気持ちもあった。


彼女とは働いているころ、休日になるとよく会っていた。
仕事のことや同僚とのことや退職後の夢などに
ついて語り合ったものである。
おしゃべりがストレス解消にもなる。


どちらも辞めてしまってからその習慣が
ぷつりと途切れ、めったに会わなくなった。


そして半年ぶりぐらいに会う彼女は
こころなしか、やつれて見える。
いつも服装やメイクにも気をつけて
おしゃれなのに、今日はずいぶん暗い。


訊くと、昨年結婚したお嬢さんに8月、赤ちゃんが生まれた。
母体の調子が産前から良くなくて
生まれたあとも付きっ切りで世話をしていたのだそうだ。


働いているとこんなに長く面倒をみることが
できなかったけれど、ようやく時間ができて
たっぷり付き添うことができた・・・
疲れていても満足げである。


わが家も、娘がわたしの在職中に二人の子どもを
出産したけれど、ゆっくりと面倒をみてやっていない。
産後、2,3週間でバタバタと床上げをした。
そういう意味では不憫だったかなぁと、いま思う。


人間生きていると、いろいろな時期がある。
思いはあっても行動に移せないこともある。
そのとき、そのときを精いっぱい生きるしかない。


そういう意味では、「今ここで」ということが
常に念頭にあり、悔いなく生きたいと希求する。
潤平の先日の敬老参観だって勤めていると
思うように出席できないけれど
時間のある今は、いま出来ることを
やっぱりしてやりたい!したい!


他から見れば、無駄に見えるようなことでも
一つひとつ思い出を積み重ねたいと思う。


「こんなにメロメロになるとは思わなかったわ!」
彼女の言葉にまったく同感である。


久しぶりに会った彼女とは
かつての仕事にかける情熱とはほど遠い
親ばかの孫自慢のような話題が主になり
変われば変わるもの・・・とふたり苦笑する。