息子


朝から快晴である。
昨日までの、にぎやかな祭りの音が消え静かな休日である。
娘や息子たちは、伴侶や家族との暮らしが忙しく
ひとり暮らしの母親のことなど眼中にないかのようである。
それでいい。


近くであるし会おうと思えばいつでも会える。
身近なパートナーを大切に、仲良く暮らしてくれたら
何も言うことはない、と思っている。


ずっと以前、4,5年まえぐらいだろうか
わたしは、ニートやパラサイトシングルについてブログに記したことがある。
そして息子をわが家から追い出したことも・・・


そのことを目にした知人から「息子さんお仕事みつかりました?」と
訊かれ、驚いた。
家を追い出してかわいそう・・・
「非情な親」としての印象をもたれたこともある。


はばかりながら、不肖わが息子は学校を卒業してから、
きちんと正職に就いている。
少しだけ名誉のために現状を記したこともある。


負けず嫌いで、いつも一番を走っていないと気がすまないところがあり
親として、燃え尽きはしないかと、そちらが心配になる。
仕事は8分ぐらいでいい、早く出世しようと思わなくとも良い、と
歯止めをかける始末である。


だからパラサイトでもなく、もちろんニートでもない。
きちんと経済的に自立した生活を送っていた。
それでも親と同居していると生活の諸々に甘えが出る。


仕事から帰宅するとあったかいご飯ができている。
お風呂もいつでも入ることができ、電気代やガス代が
どれぐらいついているかということなどにも頓着がない。


結婚前に一人暮らしをさせると、経済観念も育つ。
息子は家を出て2年目に所帯を持った。


ただひとつ気がかりなのは、前述した祭りのことがあり
毎年、気をもむ。
早くそのことから「卒業」して欲しいと願うばかりである。


一方、息子にしてみればストレスの緩和剤の役目を果す
そのことが生き方のバランスをとっているのだろう。


しばらく目をつむるしかないが、それなりに仕事をし
家庭を持ち、「普通の暮らし」をしている息子の
ひとつの活性剤だと思うことにしている。


ふだんはぶっきらぼうで、親孝行のコの字も表さないけれど
時々、思い出したように優しい言葉をかける。


そういう関わりでいいかなぁと思っている。