圧巻!「上村松園展」

京都国立近代美術館で開催されている「上村松園展」を観に行った。
会期は11月2日〜12月12日(日)までである。








※※※
上村松園、その画業に託されたもの」から

はじめに・・・

その画業において一筋に人物を描いてきた上村松園
いったい何が彼女をそれほどまでに人物表現へと
駆り立てるのだろうか。
「わたしは、大てい女性の絵ばかり描いている。しかし女性は美しければよい
と、いふ気持ちで描いたことは一度もない」
この本人の言は、人物、とりわけ女性の姿を描くことをとおして
外面の美以外のものも追求したことを暗示している。
ではいったいなにを求めたのだろうか。

彼女の生涯をたどりながら、その制作のさまを
本人の言葉だけではなく、その時々の美術の文脈や批評と
照らし合わせて素描していく・・・

※※※以上 抜粋



混むのを避けて午後遅い時間から入館したのが幸いした。
空いていて、ゆっくり観られ、じっくり堪能できた。
とにかく圧巻!息を呑む、素晴らしい!

会場に入っていきなり、上村松園の代表作「序の舞」が飾られている。
畳一枚ぐらいの大きさだ。




1936年(昭和11年)
仕舞いのひとつである序の舞を舞う女性。
彼女の姿勢や顔の表情から、精神を集中させて演技に
取り込んでいる様子がうかがえる。
強い意志を内に秘めたこの女性像を、松園は
「わたしの理想の最高のもの」と述べている。      解説より




母子1938年(昭和13年)
幼子をしっかりと抱き。愛情に満ちた眼差しを注ぐ母親。
明治初期頃の京都・中京あたりの良家の人物か。
本作品を制作する数ヶ月前、松園の制作活動を長年支えてくれた母が
逝った。本作品には、失われてゆく古き京の町の面影と人々の営み、
亡き母への思いが込められている。     解説より


特に好きな作品二点を挙げてみた。
画像は「上村松園展」からお借りした。


全作品、とにかくため息もの・・・


畳1帖から2帖ほどある大きさの作品が多いことにおどろく。
目も覚めるような鮮やかな色彩。
柔和な当時の女性の表情。
気品にあふれ、自立した女性が好きだという上村松園だけあって
どれも凛としている。


着物や帯の柄の色彩の鮮やかさ、精緻で
長襦袢肌襦袢も小粋で美しい。
かんざしなどの小物もおしゃれで思わず触れてみたくなる。


松園自身の着物をみる目の肥えていること。
能や歌舞伎などに足しげく通いスケッチし
彼女の親戚筋が京都でも有数の呉服やであり
絵が売れ出したころから、上質なものばかり
あつらえたことも一因しているようである。



たくさんの下絵も関心を惹く。
女性の優美でたおやかさのある表情
口元や目の大きさは時代を経るごとに変化している。
いまの時代のメイク術と共通しているように感じる。
舞い姿の命である「手」を何枚も何枚も描いている。
指先の動きの色っぽいこと・・・




もう一度行きたいなぁと思っている。



画集を求めたのでじっくり楽しめる。