親はどこへ行った?

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 最近の子どもを取り巻く環境はあまりに厳しく、辛い。

虐待や育児放棄の話がメデイアに登場しない日はないほどだ。

 

育てる意志や能力がない親のもとで、誰にも知られることなく

貧しさにあえぐ子どもたちがいる。

親は選べないとあきらめる子どもを助ける手立てははいのか。

貧困所帯の多くを占める母子家庭に焦点をあてた記事を読んだ。

過日のY紙は「子どもの貧困」に触れており

『きょうだいで生きていく 酒浸りの母に「出て行って」』は

涙なしでは読めなかった。

 

モノがあふれ、グルメ三昧、スマホで交流を楽しみ

つつがなく暮らす若者が多い中、日々の

食べ物にさえ困窮している若い世代もいるのである。

 

「ようやくいなくなってくれた」

母(38歳)の後ろ姿を見ながら娘(21歳)は胸をなでおろす。

定時制高校に通う弟と(17歳)と2人で母に出て行って欲しいと訴えた。

「男のところで暮らすから。この子よろしくね」

捨て台詞を残して母は、出て行った。

 

長女は泣きだした幼い弟(3歳)を抱き上げ

「これからわたしがこの子たちの面倒をみる。」

 

記事によると・・・

彼女が物ごころつくまえに両親が離婚し、自分と弟と妹を育てるため

母は、一生懸命働いたそうなのだが、病気になってこころを病んだ。

以来、酒浸りの生活になり生活保護費をもらうようになると

支給日にATMに走り酒代に消える。

 

娘は親の務めを果たさない母親に愛想をつかして家を

出たものの、小さい妹や弟からお腹がすいたと電話がかかり

家に帰るとゴミ屋敷のようになっていて、父親の違う弟が生まれていたという。

そのままでは妹たちが死んでしまう、と家に帰った。

バイトのかけもちで必死に働いても母は酒を飲み歩く。

そのような状態を近隣や親せきは、大変ねぇと

言ってくれてもなにも打開策は生まれなかった。

 

そんなときに新任のケースワーカーに現状を訴えると

別居して新しい世帯主になると生活保護を受けることができるといい

窮地を脱した。

 

もう一方の子どもの貧困は「橋の下絶望抱え10カ月」という記事である。

働くところも住むところもない17歳の少年は凍りつく

寒さのなか、橋の下に半袖シャツでいるところを

警察官にみられ、「やっと助けに来てくれた」と安堵したという。

 

こちらも幼いころに親が蒸発し、施設に入ったものの

小学校へあがるまえに名前の書き方やひらがなも

親に教えてもらっていなかったことから、いじめに遭い

中学でもいじめは続き不登校になった。

卒業してから就職するも長続きしない。

 

警察に保護されたあと若者の独り立ちを支援する自立援助ホームに入った。

「ちゃんと働けそうにないんです」正直に話すと

「何回失敗してもいいんだよ、やりたいことをいっしょに

みつけていこう」と言ってくれ救われている。

 

もの心ついてから「母はどうして守ってくれないのだろう」

そればかり思っていたが少しずつ自立し始めた。

違う施設に入っている4歳違いの弟がもうすぐ中学を

卒業する、会いに行こうと心を弾ませている。

 

小さな支援がふたりの境遇を救ったわけであるが

このような事例はあまたあるのだろう。

切なくなる。

 

親に捨てられ健気に兄弟で助け合って

生きる姿をみると、小さなしあわせが続きますようにと心から願う。

親は無くても子は育つ。

自らの苦境をバネにしっかり生きて欲しい。

 

親が子どもを育てられない。

育てる意志がない。

要因は単純ではないだろうが親自身がきちんと

親に甘え、育てられていなかったことも挙げられるのではいか。

夜なべ仕事をしてわが身を粉にして働き、子を守った

おかぁさんは、どこへ行った。