平和な時間・・・


今朝からお隣の赤ん坊の泣き声が聞こえない。
どこかへ出掛けているのか、静かである。
パタン、パタンとダストボックスを開け閉めする音も聞こえない。
何だかほっとする。


この数日間、悩ませていた芳香剤の匂いも今日はしない。
快適である。
昨日は娘宅から帰ると生ゴミの匂いまでミックスされて悲惨だった。
1回分のゴミを出しそびれて、ベランダに置いてあったのか
その悪臭がまた胸がムカムカするほどだったのだ。


たまりかねて、和室の障子を閉めた。
リビングのカーテンをすべてひいた。
風は通るからそれでも匂いは流れてくる。
「明日こそは言おう!」と決心していた。


今朝はそれらのことから開放され、心地よい。


赤ん坊が泣かないとこんなに静寂かと思うほど静かである。
本来赤ちゃんは泣くのが仕事だから、泣くのはぜんぜん気にならない。
子育ての時期は親も子も大変である。
ましてやこのような集合住宅ならば、母親としては気をもむだろう。
理解できるし、ゆったり見守ってあげたい。


けれど、ずーっと長いあいだ声が裏返らんばかりに泣き叫ぶのは
聞く側にしたら、たまらない。
どうしてあんなに激しく泣くのだろうかと思う。
可愛そうでどうにかならないものかと思ってしまう。
とにかく尋常な泣き方ではないのだ。
耳にこびりつく泣き方である。
最初は聴いているこちらが辛くて、援助の手を差し伸べたりしたけれど
それ以上のお節介はできない。


隣の奥さんは若くてお洒落な人だ。
越して来てまだ2度ほどしか会っていないが、そんなに非常識なひとにも見えない。
きっと余裕がないのだろうと思う。
しかし生ゴミにしろ、紙おむつにしろ
やっぱり捨てておけないので管理センターに相談した。


「たぶん、こちらが困るほど匂いがあるとは気がついていないだろうから
直接お隣に言ってください」と言われ、その機会をうかがっているところである。


どのように伝えようか・・・またドキドキしてくる。
頂き物のお菓子があるからとそれを口実にドアチャイムを
鳴らし、さりげなく匂いの件を言おうか・・・。
苦情も援助の手も、本当に勇気がいる。


とりあえず、静かで平和なひと時を過ごせて今は、やれやれである。